
株式会社 北山創造研究所 執行役員 松岡 一久 氏
北山創造研究所
昭和40年創立。建築設計や開発総合プロデュース、土地利用コンサルティング等を主な業務内容とし、都市を共生す
る建築を手がける。
松岡一久 氏
株式会社北山創造研究所の執行役員であり、2008年1月株式会社Energy Labo( http://www.energy-labo.com )を設
立し、代表取締役に就任。
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今回のテーマは「まちづくり」。これまで、日本の「まちづくり」は戦後の高度経済成長とともに発展してきた。それは都
市計画の理論に基づいて、道路や鉄道の整備を主体とし、「質よりも量」「地域性よりも効率性」を優先したものだった。
その結果、多くの地方都市で立派な駅前施設やアーケードなどが整備された一方で、特徴のない「街」が造られてき
た。しかし、バブル崩壊とデフレ経済を体験したことにより日本の社会構造が大きく変化し、ライフスタイルや価値観が
多様化した現代。これまでのようなハコ物整備による画一的な「まちづくり」は成立しなくなりつつある。このような時代
でまちづくりに意欲的に取り組む地域に広島県の横川がある。横川駅を中心にまちづくりをしており、駅は地域住民の
憩いの場となって活気に溢れている。その仕掛けのひとつに、駅に併設しているスーパーマーケット「フレスタ」がある。
フレスタの外観はカラフルでデザイン性に長けており、見ているだけで楽しくなる。従来のようなハコ型の建物ではな
く、スーパー内に広場を作るなど地域性を重視したこの建物は、地域住民の生活に溶け込み、まさに駅の顔となって
いるのである。今回私は、このフレスタ や横浜ベイクォーター、亀戸サンストリート をプロデュースし、全国のまちづく
りに積極的に取り組んでいる「株式会社 北山創造研究所」を訪問した。
インタビューを受けていただいたのは、執行役員 計画推進担当 松岡一久氏である。北山創造研究所は、開発総合
プロデュースや土地利用コンサルティングを手がけており、まさにまちづくりのプロフェッショナルである。
具体的にプロデュースした例を紹介しよう。
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海老名ビナウォーク
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みなさんは神奈川県の海老名と聞いて何を連想するだろう。昔から海老名はサービスエリアで有名だが、 2002 年に
誕生した名所が海老名の印象を大きく変えることとなったのをご存知だろうか。
それが小田急電鉄が事業主体、北山創造研究所が総合プロデュースを行った商業施設、「海老名ビナウォーク」だ。
北山創造研究所が小田急電鉄と共に取り組んだのは、海老名市の公園と商業施設が一体化した他にはない魅力を
持った名所創りだった。完成した施設は駅から施設の中に及ぶペデストリアンデッキ(※ 1 )を市と小田急電鉄が手分
けして掛け、市が整備し直した公園をコの字に商業施設が囲むという、他に類の見ない官民連携のエリア開発が行わ
れた。その結果、人が公園と施設の間を自由に行き来できる空間となり、「海老名ビナウォーク」は買い物をするだけで
なく、公園で遊ぶことや、イベントに参加すること、のんびりすることなど、訪れる人が思い思いの時間を過ごす事ので
きる「街の広場」となったのだ。松岡氏は今後のビジョンとして、行政や企業だけでなく、近隣住民がまちづくりに参加し
ていける仕組みを創り上げていくことを挙げた。なぜなら私たちは自宅から1歩外に出ると、そこは自分とは関係のな
い場所と考える傾向があるからだ。つまり自分の街に対する興味や愛着が薄れているのである。
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(※ 1 )ペデストリアンデッキ: 高架等によって車道から立体的に分離された歩行者専用の通路
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割れ窓理論
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私は松岡氏のこのお話を聞き「割れ窓理論」が頭をよぎった。割れ窓理論とは、 1983 年 3 月、米国の犯罪学者ジェイ
ムズ・ Q ・ウイルソンとジョージ・ L ・ケリングが紹介した理論である。その近所では犯罪が増加するという考え方であ
る。通りがかった不特定の人間の心に「その窓が割れていても、建物の所有者や地域住民など誰も気にしないようだ
から、他の窓も割ってもいい」と考える気持ちが芽生える。そうしてどんどん窓が割られていくと、「ここは荒れた地域ら
しいから」という気持ちがさらに芽生えて、破壊行為や暴行などもっと深刻な犯罪にエスカレートさせてしまう可能性が
あるというものだ。そこで、地域住民が力をあわせて空き家の割れた窓を直して歩くことで、逆にその地域の治安は向
上するという。ようするに、割れた窓を放置するのか、それとも修理するかによってその地域全体の治安が変わってくる
のである。大げさかもしれないが、たかが割れ窓されど割れ窓である。この理論は、まさに地域住民が自分たちでまち
づくりを行うことの大切さを教えてくれるのではないだろうか。
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10mからの街創り
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北山創造研究所は、私たちが快適に生活するための青写真を与えてくれている。そしてこの写真に色をつけていくの
は行政でも民間企業でもなく、私たち地域住民なのである。その土地の風土や歴史にあったカラーが彩られ、街は個
性を持ち活性化していく。私はそれぞれの街に色をつけていく行程がまちづくりなのではないかと考える。しかし私たち
が「まちづくり」に参加するというのはイメージが浮かびにくい。では、自分の自宅から半径10mを変えてみてはどうだ
ろうか?ゴミが落ちていたら拾い、人と出会ったら、挨拶をするなど。まずは身近な場所からまちづくりを始めてみては
いかがだろうか。
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松岡氏は「街を変えたい。 私たちはそのための仕組みを引き続き創り出していきます。」と強い意志を語ってくれた。
さぁ私たちに何が出来るだろう?次は私たち1人1人がまちづくりに参加する番である。
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- 本日はお忙しい中、有難う御座いました。
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編集後記
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私は北山創造研究所が創られた建物を毎日のように利用していた事が有ります。
今思えば、近代的な建築物なのに自然がたくさんある空間はとても居心地がよく一見相反するようなものを融合してい
る建築物だからこそ魅力を感じたのだと思います。もしかしたらあなたの街の近くにもあるかもしれません。
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『株式会社 北山創造研究所』 URL: http://www.kitasou.com/index2.html
『株式会社エナジーラボ』 URL: http://www.energy-labo.com/
『実践!街創りゼミ』 URL: http://www.machizemi.com/
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